僕は統合失調症

30歳の時に発症した統合失調症の発病・入院・回復の記憶

年賀状を描けなかった年

はやばやと年賀状のデザインを作ってしまった。来年は亥年。イノシシの画像を使おうと思ってひらめいたのが、映画「スウィングガールズ」。上野樹里たちが山で松茸狩りをしていて、イノシシに追いかけられる抱腹絶倒のシーンがある。大量の鼻水をたらしながら逃げまどう樹里ちゃんを見て以来、彼女のファンになった。テナーサックスをブロウする彼女のかっこいい姿も好きだ。

問題はDVDの画像をどうやって、静止画でキャプチャーするか。僕のパソコンはウィンドウズなのだが、プリントスクリーンでコピーしてペイントに貼り付けても、画面が真っ黒になってしまう。いろいろ調べて見つけたのがVideoLANという動画再生のフリーソフト。これを使って見事キャプチャーに成功した。


年賀状は毎年手作りにこだわっている。子供の頃は版画をやっていたし、ひと昔前はプリントゴッコを使っていた。寅年にはインドの虎に乗った女神ドゥルガー、馬年には馬頭観音像、申年には猿の神ハヌマーンを描いたりした。最近はパソコンを使って、旅先で訪れた風景の写真をデザインしている。京都の古い居酒屋や、沖縄の古民家を再生したカフェなどの写真に短い紀行文を添えて。干支を年賀状に使うのは今回久しぶりだ。


そんな僕も入院中だった12年前の年賀状は、自分でデザインする余裕など当然なかった。大晦日から三が日にかけて自宅へ外泊を許可されて、年賀状をくれた友人・知人に返事を出した。(ほとんどの友人・知人には入院のことは隠していた)戌年だったので、コンビニで犬のイラストの年賀はがきを買ってきた。毎年自作にこだわっていたので、出来合いの年賀状を出すのは悔しかったが、薬の副作用でペンを持つ指先が震え、宛名を苦労して書くのがやっとだった。長い時間かけてはがきを書き終え、郵便局に出しにいった。またちゃんと年賀状を作れるようになるかなあと不安だった。

翌年は、プリントゴッコで自作のイラストの年賀状を印刷できるまでに、無事回復した。いまでも年賀状の季節になると、あの戌年の年賀状を描けなかったときのことを思い出す。「今年の年賀状は自作じゃないの?」とは誰にも聞かれなかったけれど、自分にとっては病気の記憶とともに寂しい出来事だった。


年賀状を書くというあたりまえのことが、あたりまえにできる今の病状を幸せに感じながら、今年も年末が近づいてきた。それにしても今年の上野樹里の活躍はすごいなあ。TVドラマ「のだめカンタービレ」が楽しくてしょうがない。

スウィングガールズ スタンダード・エディション [DVD]

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