2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ライブからしばらくして、僕の様子がおかしいと心配したN君夫婦と香織が家に来てくれた。僕はN君夫婦をNクリニックの精神科医だと思っていたので、二人は何もかも理解しているのだと思っていた。しばらく家で話しをしてから、家を出て近くのファミレスに4人…
家族と一緒に過ごしていると、絶え間なく幻聴が聴こえるようになった。幻聴は全て対面している相手の心の声として聴こえ、僕はテレパシーの存在を信じるようになった。今までテレパシーを感知できなかったのは自分が障害者だったからで、普通の人は肉声とテ…
僕たちのバンドの演奏が終わり、次のバンドの演奏が始まった。しばらく聴いていたが、ひどい疲れを感じた僕は香織と両親に「もう帰ろう」といってライブハウスを出た。サックスを持って帰るのも忘れていた。今夜はうちに泊まるつもりで、香織は一緒について…
東京でバンドのライブのある日、午前中に僕は両親に付き添われ、近くの町の精神科のクリニックを受診した。不眠が続き、言動にも奇異なところがあらわれはじめたのを見て親が早めの対応をしたのだ。身内に精神障害者がいなかったなら、こんなに早い精神科の…
叔母が死んだ翌日、納棺のために親族が集まった。そして叔母の家を片付け葬儀の準備。通夜の晩には朝まで一睡も出来なかった。告別式の日の夜にも不眠は続き、憔悴し神経が昂ぶった。叔母の娘〈従姉妹)は、そのころ社会問題化していた自己啓発セミナーのト…
「渡辺君は、わたしに結婚して欲しいっていったんだ。Sさんは小僧が結婚するまでは、わたしと結婚するっていってくれないでしょ」香織から渡辺君のことをいろいろ聞かされた。高校を出た後、精神的に不安定になり、数年間家にひきこもっていたという。対人恐…
春に専門学校に通いはじめてから、香織は忙しい生活を送るようになった。昼間は派遣社員として事務の仕事をし、夜は学校。休日も学校の課題の制作に追われていた。それでも僕たちは暇を見つけては美術館や映画に出かけていた。学校が夏休みになって、彼女と…
1月の営業所長面談で、正式に辞職願いを申し出た。しかし、実際に退職できたのはその年の9月のこと。後任の人事がなかなか決まらず、引継ぎにも時間がかかった。3月には香織が先に退職したが、東京に出たのは先の話で、しばらくは小田原でアルバイト生活をし…
香織に会って、文子と再会したことを伝えた。 「明日、わたしも連れてって。わたしも小僧に会う」 香織の意志は固かった。僕は文子とふたりでもう一度会うつもりだったが、いっそのこと香織と村山君も交えて4人で食事をしよう。ふたりで会ったら僕はまた泣い…